神戸カフェ vol.3 YIDAKICAFE

ライター 市橋かほる

VOL.3

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美味しいビーガン料理が楽しめる「YIDAKI CAFE(イダキカフェ)

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本日のカフェは、神戸・元町にあるビーガンカフェ「YIDAKI CAFE」。

JR元町駅から神戸大丸に向かって歩いてほどなくのところにあるビルの2階です。

40年以上にわたってベジタリアンを実践しているロビンさんが大絶賛するカフェ。

さて、その秘密とは?

看板を見つけました。

さっそく階段を上がると、ターコイズブルー一色の

晴れやかな空間が広がります

料理がすごくおいしいですよ。

初めてお店に来た時、料理がすごくおいしいなと思いました。それに雰囲気もよくて。あらためてメニューを眺めていると、肉や魚を一切使っておらず、野菜もオーガニックにこだわっていました。しかも、そのことを特にアピールしていないことに驚きました。実は私は、大学生の頃から肉や魚を食べないようにしています。日本でもビーガンやベジタリアンの人は増えてきていますが、まだまだ少数ですし、少し特異な印象を持たれることもしばしば。そんな中でこのお店がとてもさりげなくビーガン料理を提供していることが印象的でした。

菜食主義に興味をもったのは、「平和」について考えたのがきっかけです。

私が高校生の頃のことです。当時、アメリカではベトナム戦争のさなかでした。黒人差別もあり、戦争や差別に対する抗議デモも行われていました。私は黒人の公民運動を率いたキング牧師を尊敬していて、彼はいつかアメリカの大統領になる人だと思っていました。ところが彼が暗殺されるというショッキングな出来事が起こります。

「平和とは何なのか」。分からなくなってしまいました。

私はキング牧師だけでなく、インドの独立の父・ガンジーの本なども読みあさりました。友人とも平和について真剣な議論を交わしました。

そんな中、アジア、特にインドには肉を食べない人がいることを知ったんです。菜食中心のインド料理や日本の僧侶の精進料理などに関する本も読み、私も試しに3カ月だけ肉を食べることをやめてみようと思ったのです。すると、なぜかとても平和な気持ちになれたのです。それ以来、ずっと野菜を中心に食べることを続けています。

体がすごく軽く感じましたね。

「肉を食べなくてもいいんだ」という気持ちが、いつしか安堵に繋がり、精神的に楽になりました。これまで心のどこかに、牛や豚、鶏などに対して申し訳なさがあったのだと思います。人間だけでなく、どんな生き物にもお母さんがいます。肉を食べる時にその目の前の生き物だけでなく、そこにつながる親や仲間も想像してしまいつらく感じていました。

食べることをやめると精神的に落ち着き、身体面も健康になっていきました。日本に来て以来、医師にお世話になったのは、30年以上前に自転車事故にあった時だけです。野菜と豆でできている私の身体は、細身ではありますが、風邪ひとつひくことのない丈夫な身体んですよ。

店員さんが持ってきてくれたオーガニック紅茶を

頂きながら

アフリカ大陸を旅していた時は大変でしたよ。

半年ほどかけてケニアから南アフリカまで南下したことがあります。アフリカは野菜があまりとれず、肉食中心の文化です。ところがすでに、野菜中心の生活をしていた私は、身体が肉料理を受け付けられなくなっていました。肉料理を避けながら、11食程度、わずかな食事をとるだけで旅を続けざるを得ませんでした。ようやくナミビアに到着し、台湾料理のお店を見つけて野菜料理を作ってもらえた時は、本当に生き返るような気持ちでした。

私自身はベジタリアンという生き方を選んでいますが、そのことを私から他人に勧めることは決してありません。アフリカのように肉を中心とした文化もあり、それを否定することはできないと思っています。実はナミビアの村で私の歓迎会をしてくれたのですが、その時出されたのは前日まで一緒に遊んでいたヤギだったのです。とても驚きましたが、その村ではお客様をもてなす一つ方法であり文化。感謝しながら頂きました。

YIDAKI」という店名を見て、「あ!」と思いました。

オーストラリアの先住民・アボリジニーが使っている楽器の名前なんですよ。一般的にはディジリドゥとも呼ばれてる楽器です。お店の本棚には民族的な文化や音楽に関する本が並べてあるので、マスターは民族音楽に興味があってそこからビーガンやオーガニックに関心が広がってこのような料理を提供しているのかもしれませんね。

でも、そのスタイルはあくまで、さりげない。だから、このお店には子連れの若いお母さんがおしゃべりに来たり、カップルがデートに来ていたりと、まったく普通のおしゃれなカフェなんですよ。

ここにいるお客さんに、「ビーガンの人はいますか?」と聞いても、1人もいないのではないかしら。ただ、「料理が美味しいから」「ヘルシーだから」「この雰囲気が好きだから」と、来ているように感じます。これって本当に素晴らしいことだと思うんです。ビーガンとか、民族音楽って、どこかマニアックですよね。そういうものをポピュラーなものとして受け入れていると思うんです。

人はみなマニアックな部分はありますよね。

人それぞれ、とても好きな何かを持っているということです。好きなものが同じ人同士で集まるのは、とても楽しいものです。でもそれ以上に、自分とは全く違うものを持っている人たちと話したり、付き合ったりすることも私は大好きです。このお店は、そういうことを実現させてくれているような気がします。

店名 YIDAKI CAFE(イダキカフェ)

住所 神戸市中央区三宮町3-6-6 大栄ビル2F

チャイの有無

流れていたBGM

URLhttp://yidakicafe.blog.fc2.com/

《当日のスペシャルプレート》

レンコンのポテト大葉梅肉のハサミ揚げ

根菜のフライ

切り干し大根のコリアンあえ

豆苗の白和え

白菜のsoyポタージュ

リーフサラダ

玄米ご飯