中京区にある韓流カフェ。
烏丸三条の交差点を西へ入っていくと、
一軒だけ、明らかに雰囲気を異にする建物が……。
土塀や玄関ドアなどすべてが古めかしくて
ここだけ時の流れが止まっているかのよう。
それにしても、この玄関ドアはどうやって開けるのかしらと
戸惑いながら近づくと、
パッと自動で開いたものだから、アッと驚いてしまいました。
目の前に現れた店内は、
これまたタイムスリップしたかのようなレトロ空間。
カウンター前の広い座敷を中心に、隠れ家のような個室や、
茶室風の部屋、窓辺のカフェ席、緑に囲まれたテラス席など、
雰囲気の異なるさまざまな席があり、思わず迷ってしまいます。
店内は、昼間というのにほの暗く、心静まる雰囲気です。
「オーナーが韓国人女性ですので韓国色が強いのが特徴ですが、
基本的にはシルクロードをイメージしてつくられたお店です」
と、スタッフの小川さん。
小川さんはこのお店に務めて9年目のベテラン。
物腰のやわらかい気さくなお人柄で、やさしい笑顔にほっとします。
ユニフォームのせいか、よく韓国人に見間違われるそうで、
韓国人のお客さんにも韓国語で話しかけられるのだそうです。
でも、実のところ、韓国語はまったく話せないンだそうです。
「今後はもっと韓国の家庭料理を紹介したいと、
オーナーが自ら現地で修業中です。お楽しみに」
と教えてくださいました。
メニュー表を開くと、
韓国の伝統料理が8〜9種類も味わえる「素夢子御膳」1500円や、
1日20食限定「精進ピピンパ」昼980円(夜は1品増しで1200円)
など、韓国料理が目を引きます。
ロビンさんは以前、かぼちゃ粥1000円を注文して、
おいしく召し上がったことがあるそうです。
「この韓国伝統茶のメニューはすごいね。
見たことない、聞いたことないお茶がズラリ並んでわくわくする」
と胸を踊らせるロビンさん。
柚子茶、桂皮茶、なつめ茶、生姜花梨茶、五味子茶、
高麗人参ジュース、黒胡麻シェイクなどもあり、
それぞれに説明書きが添えられています。
私はその中でも、
「冬に作るスタッフの力作」「喉の痛みや冷え性に良い」と書かれている
生姜花梨茶750円を注文しました。
ハチミツ漬けのカリンとショウガをじっくりと煎じており、
ガツンと甘い味ながら、それに負けないくらいショウガの辛みが
ビリリと利いて、不思議としつこさを感じません。
餅米に栗、ナツメ、松の実を入れて甘辛く蒸し上げた
おこわ菓子の「薬飯(ヤッパ)」450円とともにいただきました。
お茶で一息ついたところで、改めて店内を見回しますと、
飾り棚や間接照明など、細かな部分まで絵になる雰囲気で
思わずため息がこぼれます。
「片隅にさりげなく置かれた家具や小物まで、
品物のチョイスも、配置も、すべてが計算されていてパーフェクト。
ほんとによくできた空間だなぁ」
と、ロビンさんは感心しきりでした。
大きなピクチャーウインドウの向こうには、
人や車が絶え間なく行き交う三条通。
だけど店内には、その喧噪がほとんど届きません。
聞こえてくるのは心地よいBGMです。
音楽にのせて眺める景色は、
まるで映画のシーンのように見えるとロビンさんはいいます。
素夢子さんは、踏み入れた瞬間、別世界の空気に包まれるようなお店。
独特の雰囲気に浸りながら、まどろんだり、詩を書いたりして
ゆっくりと過ごしたくなる場所です。
場所:中京区・三条通烏丸西入る
TEL:075-253-1456
定休日:水曜
スタッフさん:小川さん
訪問していたときにかかっていたBGM:AKI-RA sunrise
お茶した後のお楽しみ:新風館、まちなかでのショッピング
チャイの有無:無
お店の公式HP:http://somushi.com